カツオの独り言~那覇の酒場から酔狂日記~

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少年色のメルヘン

この年になってくると妙に子供の頃が懐かしくなってくる。
かじまやーまではまだまだ随分早いな。
でも、そんなノスタルジーに浸りたい時だって誰にでもあるはずだ。

私が人生の中で一番好きなドラマ。
確実に子供番組の範疇を超えている。
大人が大人を楽しませるために、少年・少女時代に邂逅させるために作ったとしか思えない作品。

「思いっきり探偵団覇悪怒組
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1987年に放送された子供向け番組だ。

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主人公はヒロシ(中央のかっこいい奴)をリーダーとする小学生の仲良しグループ。
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ヒロシ(左)
ある日、担任の先生の産休に伴い落合先生(右)という男性教師が学校に赴任してきてヒロシたちのクラス担任になった。
少々間抜けなところがあり軽いイメージの先生だが、なかなか生徒思いの優しい先生である。
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しかし、ヒロシがパソコンで描いた想像上のキャラクター、怪盗・魔天郎が現実世界に出現した。
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そしてヒロシたちは覇悪怒(ハード)組を結成して魔天郎に戦いを挑む。
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だが、所詮は小学生。魔天郎には毎回全く歯が立たない。
しかし、この魔天郎がそんじょそこらの悪党とは違うのは、日々の戦いの中で覇悪怒組の面々に人生で大切なことを教えているのである。
友情、人を信じること、人を裏切らないこと、親や目上の人を敬うこと、人としての優しさ、勇気。
少年少女たちは確実に人間的に成長していった。
また、魔天郎は(自分のことは棚に上げて)子供を傷つける大人や自分よりも度の過ぎた巨悪には「怒り仮面」として容赦しなかった。
なんとも不思議な悪党である。
覇悪怒組の面々もいつしか魔天郎を人生の師のように思うようになっていった節がある。
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その落合先生。
劇中、魔天郎の声と同じである。
「ハッハッハッハッ!覇悪怒組の諸君!!」
子供たちの前に現れる時の魔天郎の決まり文句。
まるっきりの秋野太作の声である。
魔天郎=落合先生?という疑問の図式が視聴者の間に出来上がったのは自然の成り行きだ。
だが、劇中魔天郎の正体が明かされることはなかった。
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最終回。急転直下、覇悪怒組は魔天郎のアジトに乗り込むのだが、上意下達ができていなかったのか、彼の手下たちは本気で覇悪怒組に危害を加えようとしてくる。
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この窮地は、パチンコ組という、パチンコ好きのオヤジ・・・ではなくて、あのビヨーンとゴムを引っ張るほうのパチンコを駆使している、普段は覇悪怒組とはライバル関係にある小学生グループの加勢を得て突破。
いよいよ魔天郎と対峙することとなった。
生徒たちが大変な目に遭っている最中、担任の落合先生は同僚の純子先生に何かを打ち明けていた。
そして突然学校を去ることになった。
一方の魔天郎は覇悪怒組に大きなジオラマを見せて自身の壮大な計画を語り始めた。
光の塔を中心とした子供たちが平和に穏やかに暮らせる施設を造るというものだ。

http://ha-dogumi.sakura.ne.jp/list/n50.html
▲これが詳しいあらすじ

ヒロシ以外の4人はその計画に賛同するが、ヒロシだけは「何かが違う」と気づく。
しかし、魔天郎は実はその答えを待っていたのではないかと思う。
今までの戦いの中で自らの手で研鑽してきた子供たちの成長した姿の極致を見た思いだろう。
ラストシーンは感動ものだ。
落合先生が乗った電車を遠くから見送る覇悪怒組の面々。そこに突然電車内から現れた魔天郎が一体どから引っ張ってきたのか説明がつかない(笑)気球に乗り移って去っていくシーン。
一旦はファイティングポーズを取る覇悪怒組だったが、いつしか「魔天郎さようなら~」と腕がちぎれるほど手を振り声が枯れるまで彼の名前を叫ぶのであった。
まさに離任する教師を見送る彼を慕っていた生徒の姿。いつしか宿敵から恩師へと変わっていった瞬間である。
もはや魔天郎の正体が誰かなんて小さい話である。



こんな人生の師匠に私も会ってみたかった。



エンディングの曲が秀逸なので是非聴いてみてください
https://youtu.be/ACmkUiP71n8