首里劇場(前編)
ヤフーなんちゃら袋ってのを見ていると、沖縄旅行に関する質問で極めて多いのが「今度沖縄に行きます。行ってみたい場所は美ら海水族館、首里城、国際通りです。どうやったら効率的に回れますか?」という質問。
「1日で水族館と首里城は回れますか?」なんて質問もあったりする。
まぁ、自分がお人好しなだけなんだが、こんなレベルの人たちにいくら首里の本当の魅力を詳細に説いたところで未だかつてノーリアクションを継続されていたりするのがオチだ。(笑)
「本当の首里の魅力は龍潭池から向こう側だぜ?」って。
今の人は博物館が昔は首里にあったことも知らないんだろうな。
で、その「博物館級」のもはや歴史的建造物といっても過言ではない首里劇場という映画館に行ってきた。昭和25年に開業した、現存する沖縄最古の映画館である。今の赤い張りぼての首里城本殿よりずっと古いのである。
90年代までは年を追うごとに閉館ラッシュではあったものの、国際通りやその周辺には映画館がたくさんあった。
21世紀になり国映館が特別上映のタイタニックと共に沈んでから那覇からは映画の灯が消えた。
おもろまちや北谷にあるシネコンなんて、ああいうのは純粋な映画館ではない。
しかし、その一方で燃えカスというか残り香というか、僅かなマッチ1本程度の炎でも絶やすことなく現代沖縄においてこっそり「シネマの命」を灯し続けているのがこの首里劇場である。
ただし、間違いなくここは子連れ家族が行く場所ではない。なにせ上映されている映画は全て出演者の大半が服を脱いで、ソユーズとISSのドッキングシーンを人間同士で再現するような(笑)作品ばかりであるから。
要するに成人映画専門館ってことね。
一応こういう立派なドキュメンタリー映画の題材にもなっておられる。
というわけで、いざ出陣。
扉を開けると左側に受付があり、ここで入場料をはらうのだが、
館長「いらっしゃ~い」
俺「あの~、入場料は払いますので、中の見学をさせてほしいのですが・・・」
館長「???」
意表を突く申し出にいささか面食らったかのようであったが、
館長「あーはいはい、いいですよ。お金は大事にしてくださいね」
要するにどうせ暇だし、無料で中を見せていただけることになったという次第である。ありがたやありがたや。
真っ暗闇の館内を、館長の金城氏先導のもと2階に上がる。館長は懐中電灯を持っていたがそれは辛うじて自分の足元を照らす程度だった。
後方からフラッシュ撮影したら、館長びっくりしてた。(笑)すいません。
そして2階へ。
この先は2階席になっているのだが、崩落の危険性があり、というかいつ崩落してもおかしくないため進入禁止だ。1階から見ると工事現場で使うようなパイプの足場のようなもので辛うじて補強はされていた。
続いて映写室を案内してもらう。
おっ、電源入ってるぜ!?これはどう見ても現役で
ある。ちょうど痴漢電車の映画を上映中だった。
やはり映画の世界もデジタル化の波は受け入れざるを得ず、この劇場も作品はデジタルに移行。実際見せていただいた機材は役目を終えているものも多かった。
この分電盤。よく火を吹かないものである。
(つづく)